音を読む 本を聴く

イトウの音と本の綴織

2016年2月度の読書本ふりかえり。

2月度のマイベスト本は衝撃性から言って

 

墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)

墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)

 

 これです。こういった書物はマスメディアではなかなか取り上げられないゆえに、お薦めしたい。

以下2月の読書感想のまとめ。

2016年2月の読書メーター
読んだ本の数:12冊
読んだページ数:2699ページ
ナイス数:300ナイス

飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)飛ぶ教室 (光文社古典新訳文庫)感想
本来児童向けの作品であるが、大人でも十二分に楽しめた。子供への目線のまっすぐさ。蔑まない、見下さない。ただただシンプルな言葉で子供の友情、大人の友情、そして大人と子供の友情。全てに垣根はない。 大学生の頃、この本面白いぜ、と勧めてくれた友人がいたことを思い出し、今更ではあるが読んでみた。あいつ、今どうしているんだろう。
読了日:2月24日 著者:ケストナー
ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)ソクラテスの弁明・クリトン (岩波文庫)感想
ソクラテスの弁明」の方は翻訳が古いせいか、語調になれないせいか、読みこなすのに苦労した。「クリトン」は対話篇なので、こちらは問題なし。 内容は、ソクラテスの明晰な論理で総てを捉える賢人ぶりがわかる。のだが、現代的な眼で、いや私の観点からいくと、あまりに筋が通り過ぎていて、人間は本当にこうした境地に至ることができるのだろうかと考えてしまった。哲学するとは死を超えてしまうところまで行ってしまうのかと、人間そのものの存在について考える機会を与えてもらった気がする。
読了日:2月21日 著者:プラトン
「哲学実技」のすすめ―そして誰もいなくなった・・・ (角川oneテーマ21 (C-1))「哲学実技」のすすめ―そして誰もいなくなった・・・ (角川oneテーマ21 (C-1))感想
中島氏の著作は数冊読んでいたが、今回は対話形式で進めていくかたち。哲学とは難しい哲学書を読みこなすことではなく、自身の疑問に、自分の「からだ」から考え、世間語の欺瞞から自己を解き放していく。時に悪についてきれいごとではない思考を押し進めるが、反発を強めながら一人一人学生は辞めていく。この本では最後は先生の方が裸の王様という展開か。誰もに勧められる本ではないが、哲学に何か疑問を抱いている人ならば、読んでみると面白いと思う。
読了日:2月20日 著者:中島義道
本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方 (SB新書)本音で生きる 一秒も後悔しない強い生き方 (SB新書)感想
やりたいことを見つけて、ノリとフィーリングでチャレンジするだけ。 PDCAを繰り返す。仕事だけではなく、プライベートにも応用できる。 サクリと読めてしまう。いわゆるシンプルイズベスト。飾らないのがホリエモン流。私もこういうノリは好きだな。
読了日:2月13日 著者:堀江貴文
墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)墜落遺体 御巣鷹山の日航機123便 (講談社+α文庫)感想
あの御巣鷹山の航空事故の遺体の身元確認班長の経験からしか出てこない現実の数々に言葉が出ない。これは本を読んでいただくしかないが、遺体確認500体を超える作業は想像を絶する。 あの年、私は高校1年生で部活の合宿の帰りのバスの中だった。ふと坂本九さんの上を向いて歩こうを口ずさんでいた。 帰宅したらテレビは事故の話題一色だった。九さんもあの事故の犠牲者だった。そのことははっきりと覚えている。 もうあれから30年。命、人の絆、そういう抽象めいた言葉は、この本に書かれている現実を経て語られてこそ心に響くのだろう。
読了日:2月12日 著者:飯塚訓
読書力 (岩波新書)読書力 (岩波新書)感想
冒頭から、本は「当然読むべきもの」から「別に読まなくてもいい」ものに変化してしまった現在日本に警鐘を鳴らす。 読書の習慣は日本の地力であると力強く説く。 ではどうやったら読書力はつくのか、それが具体的に書かれている。 いい意味で、読書する者として身の引き締まる思いがした。
読了日:2月9日 著者:齋藤孝
山月記山月記感想
むかーし読んだ記憶があるようなないような、で改めて読んでみた。 これ元ネタ、カフカの変身では? こちらは虎になってしまう話だが、詩人になるのもなんになるのも突き詰めるとこうなってしまうのか。。。 今の私としてはあまり突き詰めない方が精神衛生上良いと思っているので、結構客観的に読めました。
読了日:2月9日 著者:中島敦
カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟1 (光文社古典新訳文庫)感想
積ん読本からようやく読み始めた。これは非常に人間臭い、いや男臭い小説だこと!父親のフョードルのギンギンギラギラな性質の表現がえぐい。いかに俗悪で好色であるかをここまでえげつなく表すのはすごい。 想像よりも動的で躍動感のある訳にも関心。続いて明日から第2部に突入しよう!
読了日:2月7日 著者:ドストエフスキー
そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)そして誰もいなくなった (ハヤカワ文庫―クリスティー文庫)感想
ミステリーはネタバレ厳禁なので書けないが、最後の一文までしっかり読めて、充実した読後感。さすがミステリーの古典的名作だけはある。古典というと古臭く感じるかもしれないが、これほど巧妙な仕掛けは単にミステリーの枠にとどめておくのはもったいない。結局2日かけて読むのが1日とちょっと。数時間で読んでしまった。読んでいない人にはおススメできる作品。
読了日:2月5日 著者:アガサ・クリスティー
知ろうとすること。 (新潮文庫)知ろうとすること。 (新潮文庫)感想
対話形式で読みやすい。東日本大震災で起きた福島での原発事故による放射能漏れ事故をあらためて話す。科学的思考が一般社会の人の思考とが乖離しているという目線を共通理解として話が進む。放射能汚染がじゃあ一体どのくらいの程度なのか。健康への影響はどうなのか。 まずそれは科学的な数値として示されなければならない。 今でも原発への不信感は全国的にもヒステリックなほどあり、一石を投じる意味合いも本書にはあるのでは? 見えない不安に怯えるよりは、こうした科学的でスッキリ明快に考えたほうが前向きにな行動ができるのでは。
読了日:2月3日 著者:早野龍五,糸井重里
日本国憲法 (ハルキ文庫 い 17-1)日本国憲法 (ハルキ文庫 い 17-1)感想
日本国憲法の全文と伊藤真氏の意見が書かれたもの。 憲法全文を読んだのはひょっとして初めてか?中学校の頃部分的には読んだし、憲法の内容については学んだものの、続けて全部読んだのは初めてだ。 日本人として非常に恥ずかしいことだが、読んでいると今の政治は憲法違反だらけだということ。 ヘイトスピーチ、暴力行為など人権問題しかり、憲法を自分たちのいいように変えられる立憲主義の蹂躙しかり。 憲法は日本人なら分かっても分からなくても、読んでおく、そして時に及んで読み返すということをしていくべき。公教育でも家庭教育でも。
読了日:2月2日 著者:伊藤真
辻征夫詩集 (岩波文庫)辻征夫詩集 (岩波文庫)感想
現代詩と言っても奇を衒わず、難解な言葉は使わない。詩人そのものの素直な表現として伝わってくるところがいい。 辻さんの詩は言葉は簡単だけれど、少し遊んで実験的な表現をしている作品もあり、所々で新鮮な驚きと発見をする。それがこの人の詩人たるところなのだなとも思った。 巻末の谷川俊太郎さんとの対談は互いに言いたい放題でとても面白かった。
読了日:2月1日 著者:辻征夫

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