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生きていく読書

読書を生きていく糧に。そして理解しあえる世界に。

2016年11月読書のまとめ

 

11月の読書のまとめです。

比較的元気だったので読書は進んだ。内容もバラエティに富んで面白い。

 

11月のマイベストは

カラマーゾフの兄弟を読破

戸川純全歌詞解説集――疾風怒濤ときどき晴れ

以上の二つでした。

以下感想のまとめです。

 

2016年11月の読書メーター
読んだ本の数:22冊
読んだページ数:5981ページ
ナイス数:434ナイス

砂の女 (新潮文庫)砂の女 (新潮文庫)感想
教員である男が置手紙を残して失踪する。男は昆虫採集に出かけた砂地の部落で女の住む家に砂掻き出し要員として部落に拉致状態にされてしまう。 男は必死に脱出を試みるが、すべて失敗に終わる…。ストーリーを追えばそういう悲劇話だが、男の焦り、衝動、情動、諦念、がぐいぐいと読み手を引き付けていく。形のない砂という存在と、男と過ごす女の変幻する描写が重なり合う。読み始めは訳の分からない物語だと感じたが、男の焦燥感の描写の巧みさにハマり、読み進めることができた。これは日本文学というより世界文学のひとつと言っていい。
読了日:11月3日 著者:安部公房
思考のレッスン 発想の原点はどこにあるのか (講談社+α文庫)思考のレッスン 発想の原点はどこにあるのか (講談社+α文庫)感想
前半竹内氏の文章。後半は二人の対談公演の記録。前半の竹内氏の人生経験からの主張、文系理系の壁を乗り越えて日本人はルネサンス人を目指そうというもの。現状ではそういう思考をできていない日本人が多いな、と思う。私自身も文系という枠に囚われていた。後半の対談に入ると、より具体的な話、日本の危うさや閉塞についても語られる。本の題名からすると突っ込みが足らない気はするが、文理に囚われずに興味があればどんどん学ぶべし、そんな元気が出る本だ。
読了日:11月3日 著者:竹内薫,茂木健一郎
眼球譚(初稿) (河出文庫)眼球譚(初稿) (河出文庫)感想
ついに読んだ、バタイユ処女作「眼球譚」倒錯のエロティシズムと死、冒頭から体も頭もグルグルするようなえぐい展開にギョッとする。理性で考えると猥褻なポルノグラフィーにしか読めないが、からだのあらゆる部分、心臓はもちろん股間まで総動員して読んでいくと、この作品のある種の美しさを見出すことができる。ただし、そこまで来るのには様々な経験がないと、おそらく単なる変態小説にしか読めない。要は青少年諸君にはちょっと毒が強すぎるということだ。戸川純の曲で眼球奇譚という歌があるが、この作品からの影響かとずっと気になっている。
読了日:11月3日 著者:ジョルジュバタイユ
こゝろ (角川文庫)こゝろ (角川文庫)感想
確かに高校2年生の時に教科書で学んだ。しかし、こうして齢を重ねて読み直すと、漱石の強烈な人間の内面の表現力に圧倒され、お腹がキリキリ痛む。追い詰められる。すごいと言うしかない。「先生と遺書」は圧巻。一方で日本人の倫理観を問うている点で、現代ではこんなことで自分(先生)を追い詰めることもなかろう、という感想を見出すことも可能のような気がする。やっぱり日本人というのは性愛については億手なのかもしれない。
読了日:11月6日 著者:夏目漱石
語彙力こそが教養である (角川新書)語彙力こそが教養である (角川新書)感想
斉藤氏の音読素読のススメは私も高校時代古文漢文で必ず行っていたが、効果はてきめんだった。最近は音読素読していないというのが反省材料と気づかされた。また、言葉の誤用については、恥ずかしいことに、かなり間違って理解しているものが多いのを気づいて、故事成語辞典でも探してきて読み直そうかと思う。読書をしていてもなかなか読みこなせない、人とのコミュニケーションがうまくいかないと思ったら、ひょっとして語彙力が不足しているのかもしれないと疑ってみてもいいかもしれない。この本自体読みやすいものなので、おすすめです。
読了日:11月6日 著者:齋藤孝
快楽主義の哲学 (文春文庫)快楽主義の哲学 (文春文庫)感想
澁澤龍彦のことだからどこまで危険な言説に及ぶのか期待した。期待したまでの快楽ぶり変態ぶりではなかった。いや、期待し過ぎた私がかなりアレなのかもしれないが…。とは言え、どこぞの新書や自己啓発書などと比べ物にならないほどの刺激に満ちている。幸福を求めるのではなく、人間本来の快楽追及を勧めるくだりはさすがというほかない。日本人では岡本太郎深沢七郎の名を挙げ、彼らのような生き方が指標になるとか。私は坂口安吾などもそれに通じると思う。
読了日:11月7日 著者:澁澤龍彦
人生エロエロ (文春文庫)人生エロエロ (文春文庫)感想
人生の3分の2はいやらしいことを考えてきた。と始まるみうらじゅん氏のエッセイ集。内容は完全無欠のエロ。でもなんだかどこか微笑ましくて昭和な雰囲気を醸し出しているところが良くて、通勤途中に(Kindleで)読んで、笑いを抑えるのに必死になったこともしばしば。馬鹿だねえと思いつつ、自分もその馬鹿なひとりだと自覚して読み切りました。巻末の阿川佐和子さんとのトークも必読。
読了日:11月8日 著者:みうらじゅん
カフカ短篇集 (岩波文庫)カフカ短篇集 (岩波文庫)感想
あまりに謎が多すぎて、ここで書くにはまだ1,2年寝かせないと無理。昨日少し書いたので付け加えるとするならば、カフカを読んだらものすごい想像力がたくましい人間になりそう、いや人間ではなくもう別の生物かもしれない。特に「判決」「流刑地にて」は特に劇物扱い。
読了日:11月10日 著者:カフカ
カフカ短篇集 (岩波文庫)カフカ短篇集 (岩波文庫)
読了日:11月10日 著者:カフカ
かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)かわいい女・犬を連れた奥さん (新潮文庫)感想
人生初チェーホフ。人間描写が鋭く細かく、そして躍動感を感じさせる。ストーリーを楽しむというより、人間味あふれる人々の人生のある時温かく、ある時厳しい、その様を味わう。人生いろいろ、ここまで多様な生きざまを描かれると読み手には深い充実感が待っているのだ。そしてロシアの風景がまるで自分の心象風景のように残った。
読了日:11月10日 著者:チェーホフ
世界史としての日本史 (小学館新書)世界史としての日本史 (小学館新書)感想
「日本は特別な国」という思い込みを捨てろ!という表紙の言葉に惹かれて読んだ。戦後の日本人総バカ化推進がGHQの策略なら、もう十分目的が達成されている。今の我々日本人には教養がない。自国のことを知的に冷静に観ることができない。それは大学生までに勉強を分断的(6・3・3制)にしかできなかったからであり、それによる勉強そのものが受験目的化、就職目的化だからでもある。大人になっても時間がないと言って勉強しない。日本の恥部を曝け出した二人の対談にはうなずく点が多かった。おすすめ。
読了日:11月12日 著者:半藤一利,出口治明
世界から戦争がなくならない本当の理由世界から戦争がなくならない本当の理由感想
詰まるところ、人類の業の深さ、歴史から学ばない愚かさが戦争を繰り返すものなのか、、、、とかなり絶望的な気分にさせられた。日本も戦後70年間、戦争をしていないと言いながら、ベトナム戦争などでは裏からアメリカへ資金支援をしている点で自分の手を汚さない卑怯な国といえる。「本当に怖いのは異常な独裁者ではなく、それを支える国民の熱狂なのです」池上氏はそう指摘し、昨今の在日排斥、ヘイトスピーチが日本に少しずつ蔓延する状況を危惧している。歴史から学び、戦争を繰り返さないということ、これが現日本の最重要課題なのだと。
読了日:11月13日 著者:池上彰
賃労働と資本 (岩波文庫)賃労働と資本 (岩波文庫)感想
労働者は働けば働くほど労賃価値が低下し、ますます資本家の利潤は増えるという内容かと思う。現代でも機械化コンピュータ化するにつれ熟練工、専門職は不要になり、労働力もより低賃金で雇える国へ移行していく状況。まさにマルクスの指摘通りになっている。資本主義の本質がマルクスの時代から全く変わっていないことに愕然とする。 しかし、この翻訳はいかにも古めかしい。「逆比例」とは言わないだろう。多分「反比例」のことだろうが。
読了日:11月14日 著者:カールマルクス
黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集〈1〉ゴシック編 (新潮文庫)黒猫・アッシャー家の崩壊―ポー短編集〈1〉ゴシック編 (新潮文庫)感想
光文社古典新訳文庫でも読んだので一部再読。「黒猫」「落とし穴と振り子」「アッシャー家の崩壊」が特に強烈な印象。常に女性と死の匂いが漂う怪奇小説群。読んでいるこちら側が死に引き寄せられていくようで怖い。後年数々の作家に影響を与えた理由もよくわかる。
読了日:11月17日 著者:エドガー・アランポー
少女コレクション序説 (中公文庫)少女コレクション序説 (中公文庫)感想
人形愛、セーラー服、処女生殖、コンプレックス、匂い…澁澤龍彦が縦横無尽に繰り広げるエロスと倒錯の世界。古今東西の文献から様々な逸話が満載。単なるスケベ心で読んでいると痛い目に合う。ペダンティックともいえる澁澤氏の引き出しの豊富さは驚嘆するしかない。個人的には最終章のマンドラゴラについての記述が興味を惹いた。
読了日:11月18日 著者:澁澤龍彦
寛容論 (古典新訳文庫)寛容論 (古典新訳文庫)感想
フランス・トゥールーズにおける、プロテスタント、ジャン・カラス冤罪事件に端を発したヴォルテールの主張と活動の始終。当時のトゥールーズカトリックプロテスタントの対立が激しかったこともあって、その風当たりがこの冤罪事件を引き起こしたのだという。ヴォルテールは宗教派閥対立という不寛容さが根底にあるとし、ギリシャローマ帝国時代までさかのぼり、様々な寛容さを取り上げる。そして最後に「知性が虚弱な人々は、陰気な迷信に動かされ、そして考え方が自分たちと異なる人間を犯罪者に仕立ててしまう」という。これが不寛容さだ。
読了日:11月19日 著者:ヴォルテール
悲しみよこんにちは (新潮文庫)悲しみよこんにちは (新潮文庫)感想
18歳のサガンが書いた17歳の女の子セシルが主人公の小説。フランスだからか、普通に酒たばこやるんだよね~。恋愛でも父親レイモンもセシルも自由奔放、だけれど深い心情の部分で父への嫉妬、結婚する相手に決めたアンヌへの憧れとともにやってくる糞意地悪い策略。結末を含め、瑞々しいきらめきを感じる。まさに題名通りの小説。
読了日:11月19日 著者:フランソワーズサガン
カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟3 (光文社古典新訳文庫)感想
いよいよ問題の事件が発生し、ミーチャが容疑者として逮捕される。ここのくだりはスピード感があり、ミーチャの心情の吐露が無茶苦茶だがどんどん惹き付けられるところ。巻末の訳者の読書ガイドが非常にためになる。いよいよ第4部に突入する。
読了日:11月22日 著者:ドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟 4 (光文社古典新訳文庫)感想
ミーチャが逮捕されて裁判にかけられるシーン。クライマックス。検察官の弁論も説得力が強く、有罪か?と思われるが、弁護人の弁論がさらに気持ちを揺さぶられる。さて、どうなるかは、読んでのお楽しみ。しかし、読んでも第5巻エピローグをすぐ読まなければ気が収まらない。恐るべき残尿感!
読了日:11月25日 著者:ドストエフスキー
カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)カラマーゾフの兄弟 5 エピローグ別巻 (5) (光文社古典新訳文庫)感想
エピローグまで読了。嗚呼ついに読み終えたカラマーゾフの兄弟。大作だけに自分の読んだだけでは到底汲み取り切れないものは多くあったと思う。エピローグでの昇華は私には大波に打たれたような、そして青い空が見えたような。最終的にはアリョーシャがキーパーソンだったな。傑作なり。
読了日:11月25日 著者:ドストエフスキー
戸川純全歌詞解説集――疾風怒濤ときどき晴れ (ele-king books)戸川純全歌詞解説集――疾風怒濤ときどき晴れ (ele-king books)感想
私が30年以上愛してやまない戸川純。彼女の書いた全歌詞を彼女自身が解説。歌も知っているものがほとんどだったし、思い入れのある歌も多いので、自分自身の今までを重ねて読んだ。私にとっての彼女の最高の歌は「赤い戦車」。”生きるために生まれたんだと確信色”のくだりはあたかも私自身のために歌ってくれたように思えてました。彼女もこの歌には強い思いがあるようで、この歌詞の解説にはずいぶんページを割いて書いてくれてます。彼女の半生を振りかえる意味も持つ。私の生涯なかで最も大切な本となるだろう。今日、私の誕生日に読了。
読了日:11月27日 著者:戸川純
いい子になれって いわないでいい子になれって いわないで感想
フランスの名車ファセス・ベガを作ったジャンの幼い時の物語。勉強も集中できず、音楽も点でダメ。落書きばかりだった彼の勉強帳には車の絵がたくさん描かれていた。ジャンは途中で学校を退学になり、寄宿舎学校に行くが、兵役に行き、たくさんの技術経験をえることになる。ジャンが成功するまで親は彼に酷い仕打ちを与え続けた。この絵本にはあまり強調されてはいないが、いかに大人の杓子定規があてにならないことの典型だ。大人自身も自分の可能性にに知らず知らずに手枷足枷して自由を奪っているのではないかとも思った。
読了日:11月30日 著者:M.P.ダニノス

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