音を読む 本を聴く

イトウの音と本の綴織

自分が死んだときのことを思ってみる。

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エマ ヘンデル、ランぺ、アーンアリア集

HANDEL • ARNE Arias EMMA KIRKB Y The Academy of Ancient Music CHRISTOPHER HOGWOOD

L'OISEAU - LYRE

 私が死んだときを仮定する。

「じゅんさん、亡くなったの?」

「そうだって、最近話ししてなかったな~」

「先日も彼のFacebook見てさ、何か大変そうだと思ったけど。こんなに早く亡くなるとはね。」

「本当に。こんなに早く亡くなるのだったら、一度会いに行けばよかった。」

「ええ、私はこの前Facebookでいいね!をつけようとしてやめっちゃった。なんか気を悪くするかと思って…。でも一度声かけるべきだったかなぁ」

「そうだね。もう亡くなってしまって、残念だな。通夜にいって線香の一本でもあげようかな」

「惜しい人を亡くした。残念だ」

「やっと死んだか。清々するね」

こんな話があるかもしれない。

しかし、その時にはもう私はいない。何を言われても何も響かない。

 もし彼らの言葉を草葉の陰から聞いていたら私はこう言うだろう。

「そうだって、最近話ししなかったな~」

私(何言ってんだ、こちらがどれだけ言っても無視していたくせに)

「先日も彼のFacebook見てさ、何か大変そうだと思ったけど。こんなに早く亡くなるとはね。」

私(大変そうに見えるならば、どうして何もしてくれなかったのか?)

「本当に。こんなに早く亡くなるのだったら、一度会いに行けばよかった。」

私(だったら早く来いよ!誰でもいつ死ぬかわからないのだ!)

「ええ、私はこの前Facebookでいいね!をつけようとしてやめちゃった。なんか気を悪くするかと思って…。でも一度声かけるべきだったかなぁ」

私(気を悪くするかもしれないけど、いいね!くらいつけるべきだったな)

「そうだね。もう亡くなってしまって、残念だな。通夜にいって線香の一本でもあげようかな」

私(そんな心のない線香はいらねえ)

「惜しい人を亡くした。残念だ」

私(本当に心にもない適当なことを言うんだね)

「やっと死んだか。清々するね」

私(おまえ、そんなことを思っていたのか…)

 私は生きている時がすべて

私は今のところ前世も後世も信じない。死んでも星にもならないと思う。現世のことは現世で終わると思う。だからそういう信仰を持たない人は不快に感じるかもしれない。

私にとって生きている時がすべてであり、死んだあとにどれだけ惜しまれても貶されても私には届かない。感謝しようにもしようがない。復讐しようにもしようがない。死んだらもう会えないのだ。良いことも悪いことも生きている間に決着をつけたいと私は思っている。

私に対してどう思おうが皆さんの勝手だが、私はそういうつもりで生きている。死んだあとで私のことをどう言おうが、それは私にとって何の意味もなさない。もう話すこともできないのだ。

だからこそ、私は生きている目の前の人を尊重したい。自分勝手に決めつけたその人ではなく、ありのままのその人を。

 今日、出会っている人ものがすべて

昨日では阪神淡路大震災から25年経った。

私はいつも思う。

震災であろうが事故であろうが、どんな人でも突然この世からいなくなってしまうことがある。

これは確率の問題ではない。死は100%直面する出来事であり、生物はかならず死ぬ。

一方で多くの人は死を考えない。喪失はだれでも怖いものだからと私は思う。

死というものは非常に難しいものであるとともに、非常にシンプルな出来事でもある。

私はある人の死に直面したとき「人が死ぬって、こんなにあっけないものなのか」と感じた。

人間って人生をやたらに盛り立てるけれど、最終はこんなに単純なのかと。

ただ動かなくなる。だんだん顔の皮が重力に逆らえず、横たわる顔のしわが伸びてなくなる。火葬するまで腐らないようにドライアイスを棺に詰める。

すべてが日常的に生物のあたりまえを見ているにすぎない。

人にはいろいろな思いがある。だからこそ喜怒哀楽がある。私はそういう人生を愛する。正直あまりに苦しく悲しいことが多くて、本当に嫌になることがある。

でも、そうした体験をしつつも、諦められないことややりたいことがある。あくまでも人生を楽しみたい。自分の気持ちを大切に思い、他人を認められる人間になりたい。突き詰めればそれだけが私の望むことだ。

私の最も愛するものは音楽であり芸術である。

それらは紛れもなく、人間の創り出すものであり生と死の中で生み出されるものである。だからこそ芸術は尊い

私はこれからもそれらを愛し、その中で人と出会っていきたい。