ネヴィル・マリナー追悼。モーツァルトのポストホルン・セレナード
モーツァルト セレナード ニ長調 K.320 「ポストホルン」
ネヴィル・マリナー指揮アカデミー・オブ・セントマーティン・イン・ザ・フィールズ
マイクル・レアード(ポストホルン)
先日、マリナーのビゼーのディスクを紹介したその日に、訃報を知った。
享年92歳とのこと。
マリナーといえばなんといってもまずモーツァルトだったと思う。家蔵のディスクを引っ張り出しつつ、その素晴らしさについて語りたい。
マリナーの振るモーツァルトは決して開放的で明るくてという側面ばかりを強調しない。
これはマリナーの音楽性だと思うが、音楽のラインが非常に明晰というか、クッキリしていてブレがない。これは共通している。羽目は外さないが、楽譜に忠実とでも言うのか、全体の音楽のきっちりまとめる。
ここが評価の分かれるところか。ちょっと羽目を外してデフォルメかけたほうがウケがいい。でもマリナーはそんなことはしない。
この「ポストホルン」でも愉悦に浸るのではなくしっかり丁寧に音のラインを描き上げていく。やや渋い。しかし、これが本来のモーツァルト像ではないか、という自信に満ちている。現代のモーツァルト演奏にかけてはマリナーのモーツァルトはなくてはならないもの。
マリナー追悼企画はまだ続く。と思います。