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【読書】 フィツジェラルド「グレート・ギャツビー」

 

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

グレート・ギャツビー (新潮文庫)

 

バブリーな人生を絵にかいたような物語。底辺には恐慌や西部出身者の思いなどがある。毎晩繰り返される豪奢なパーティー。そしてあっけない結末。人によりけりだろうが、こういう人生もなかなか味わえないな。日本もバブルの時はこういう人は結構いた…。

まあ、単なる成金青年の凋落を描いたものではないんだけれども、表面上はそう読める。ギャッツビーとニックのやり取りから徐々に恋愛のもつれそれが、最終的な悲劇に向かっていく。

音楽だと苦悩から歓喜へ、というドラマツルギーに評価が行きがちだが、なぜか文学って栄華から凋落没落という崩壊へのベクトルの方が多い気がする。

どっちがいいかという話ではないが、より文学の方が人間のリアリズムに近いってことなのか。 

悲劇もいいけれど、もう少し希望が持てる作品も読まないといかんかな。

 

ちなみにグレート・ギャッツビーの有名な翻訳では村上春樹のものがある。

 

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)

グレート・ギャツビー (村上春樹翻訳ライブラリー)