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イトウの音と本の綴織

あけましておめでとうございます。【読書メーター】2016年12月度読書のまとめ

あけましておめでとうございます。今年は昨年以上に読書をしようと思います。どれだけ積読本がなくなるか、楽しみです。

 

12月度は振り返ると冊数はそれなりだが、もう少し読めそうかなという気がした。

しかし、赤毛のアンガリバー旅行記やグレートギャッツビーなど著名な名作にふれられたのは収穫。今後も読んでいない名作にはチャレンジしていこうと思う。

 

12月のベスト本は

絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)

絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)

 

石井光太 絶対貧困ー世界リアル貧困学講義 

ルポルタージュ。決して貧困の悲惨さを強調せず、路上生活者の楽しみ、物乞いのしたたかさ、などところどころユーモアを交えて現実に迫っていくところ、日本も対岸の火事ではない、グローバル化が迫っていることを教えてくれる貴重な本。

 

以下12月度の感想まとめ。

2016年12月の読書メーター
読んだ本の数:25冊
読んだページ数:7117ページ
ナイス数:795ナイス

愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)愛着障害 子ども時代を引きずる人々 (光文社新書)感想
この本を読んで、私は完全に愛着障害であることを知る。子供のころから親から否定され笑いものにされ、不当な評価をされ、時に屋根裏部屋に手足口を縛られ放り込まれた記憶がどんどん溢れてきて憎悪と悲しみでいっぱいになった。患っている精神疾患の原因になっているのでは?と常々思っていたのだが、誰からも(特に親)「そんな子供の頃のことを大人になってから引き出されても」という否定意見ばかりだったが妻から勧められたこの本によって、自分の歪められた心の根源がやはり幼少期にあったのだと悟った。
読了日:12月3日 著者:岡田尊司
新・リーダー論
大格差時代のインテリジェンス (文春新書)新・リーダー論 大格差時代のインテリジェンス (文春新書)感想
現代の世界情勢を語らせるのならこの二人は欠かせない。シリーズ第3弾。「新・戦争論」「大世界史」と読んでこれ。平和=格差か、平等=戦争か、という2択に現代が収斂されてきつつある指摘が印象的。トランプ新大統領出現がポピュリズムの象徴的な事件だったとすれば、アメリカ人が政治に変化を求めている人間が過半数いるということになる。さて日本にちては政治・経済のリーダーの薄っぺらさを指摘し、今後どうすべきかというところまでで、やや尻切れ。シリーズはまだ続きそう。今度は日本での教養のありかたの考えを読みたい。
読了日:12月3日 著者:池上彰
ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)ぼくらの頭脳の鍛え方 (文春新書)感想
読書メーターに登録し忘れていた、私のレファ本のひとつ。時々眺めて読んだ本をチェックしてみている。読むたびに、オッこれ面白そうだ、というのを発見するので手放せない。
読了日:12月3日 著者:立花隆・佐藤優
本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)本の「使い方」 1万冊を血肉にした方法 (角川oneテーマ21)感想
読書メーターに未登録本。読書術、読書論は数あれど現代日本人が書いた本の中では一番ダイナミックで実践的だと思う。
読了日:12月3日 著者:出口治明
ひとはなぜ戦争をするのか (講談社学術文庫)ひとはなぜ戦争をするのか (講談社学術文庫)感想
9月ごろ読了?ページ数も少ないし、二人の巨人の書簡が読めるというのは貴重。戦争について書かれる。個人レベルでいえば、文化・教養のある人が増えれば戦争の起きる数も少なくなるということか。社会的にはやはり子供から大人までの教育の在り方が肝要ではないかと思う。学校教育そして生涯教育として教養を深めることが、重要だろう。
読了日:12月3日 著者:アルバートアインシュタイン,ジグムントフロイト
フランス文学は役に立つ! ―『赤と黒』から『異邦人』までフランス文学は役に立つ! ―『赤と黒』から『異邦人』まで感想
フランス文学有名無名作品から24作品のあらすじと講座。ブックガイドとしても秀逸で、読めば読むほど全編を読みたくなる。 とりあえず私はルナールの「にんじん」ヴォルテールの「カンディード」あたりから読むことにする。
読了日:12月4日 著者:鹿島茂
ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)ツァラトゥストラはこう言った 上 (岩波文庫 青 639-2)感想
竹山道夫訳での挫折から30年。無理やりでも読んでやるという意気込みで読んでみた。完全にニーチェの「力への意志」の息吹に圧倒された。完敗、ではあったが、下巻ではねじ伏せてやるという気合を持った。これは完全に格闘技である。
読了日:12月4日 著者:ニーチェ
ツァラトゥストラはこう言った 下 (岩波文庫 青639-3)ツァラトゥストラはこう言った 下 (岩波文庫 青639-3)感想
超人、永遠回帰、そのものをかなり直接に語られる。あまり深読みせず、どんどん読み進めたが、解説を読むと、キリスト教(聖書)やニーチェ著「この人を見よ」を読むとさらにニーチェの思想の広がりを感じられるに違いない。枝葉末節はともかく、ニーチェってやっぱりどこか壊れている。だからこそ、この自堕落な人間世界に嘔吐!嘔吐!嘔吐!と言い続けたんだろう。
読了日:12月7日 著者:ニーチェ
西脇順三郎詩集 (1975年) (青春の詩集〈日本篇 15〉)西脇順三郎詩集 (1975年) (青春の詩集〈日本篇 15〉)
読了日:12月9日 著者:西脇順三郎
赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)赤毛のアン―赤毛のアン・シリーズ〈1〉 (新潮文庫)感想
孤児院から老兄妹に引き取られたアンの11歳から16歳までの成長。カナダの細やかで豊かな自然とアンの感受性が二重写しになる。自分の娘が同じ年頃なので、アンの成長が重ねられて胸いっぱいになってしまった。完全にマシュウ目線だな。感受性の豊かさゆえに様々な事件、失敗を繰り返すアンだが、その中か徐々に成長を見出してゆく。この時期の子供の成長は著しいと本当に思う。だから愛情を与えれば子育ては大変だけど報われる、と思うよ。ビバ子育て!
読了日:12月10日 著者:ルーシー・モード・モンゴメリ
にんじん (新潮文庫)にんじん (新潮文庫)感想
児童虐待文学、そしてモラルハラスメントの典型を見る重要な作品。子供の頃、愛されずに否定され続けるということがここまで悲しいことか…私は痛いほどわかる。私の場合にんじんほどの精神的な虐待はなかったが、肉体的な虐待は相当なものだった。モラルハラスメントの問題としては、大人にとってもこの小説はかなり重要な意味を持つと思う。これを読んで自分のことのように痛みを覚えない人は、愛情たっぷりに育てられたか、虐待やモラハラをしている当事者なのかもしれない。注意して読むべし。
読了日:12月11日 著者:ジュールルナール
パパは楽しい躁うつ病 (新潮文庫)パパは楽しい躁うつ病 (新潮文庫)感想
どくとるマンボウこと北杜夫躁うつ病人生を振り返る、娘との対談集。内容に悲壮感はなく、躁状態になったときは株を売ったり買ったり、国を作ったり(?)と夫婦間でのバトルの話があるが、なぜか北家では笑いのネタになる。精神病を大っぴらに言えない時代から北杜夫躁うつ病を公然と認めていた。自分が精神科医ということもあるだろうが、病気への偏見はないようだ。個人的な感想として、まるで共感はできなかった。ここまで受容できる家族はまず考えられないし、私はかえってこの本を読んで気を重くしてしまったくらいだ。
読了日:12月13日 著者:北杜夫,斎藤由香
陰翳礼讃 (中公文庫)陰翳礼讃 (中公文庫)感想
のらりくらりと読み進めて今日読了。初谷崎。パチンコ屋やコンビニのように、どこへ行っても煌々と明るい現代にとっては、暗がりとは、恐怖であり、悪の温床であり、なくすべきものとさえ思われている部分がある。谷崎は陰翳に想像力を感じずにいられなかったのだろう。色恋事もあまり明るすぎるところじゃ、白けてしまうんでないか、と。
読了日:12月16日 著者:
読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]読書は1冊のノートにまとめなさい[完全版]感想
本を読みっぱなしにしないで読書ノートを作ろうと、参考にしてみた。気楽にできることがいい。なんといっても読んだことを残せるということ、何度も読み直して読書百遍に近づける、という仕組み化も素晴らしい。
読了日:12月17日 著者:奥野宣之
ガリバー旅行記 (角川文庫)ガリバー旅行記 (角川文庫)感想
「男女の結びつきは性欲のせいであり、その最中に子供の生まれることなんか考えていない。(中略)だから親は義務感を背負うこともなく、子も孝心を持たなくていい。」 どこが子供むけのお話なんだろう。ガリバーは4つの場所(島)へたどり着くが、最後のフウイヌム国渡航記が人間風刺を超えて、人間社会への嫌悪まで示している。ヤフー、ラピュタの元ネタはこの本にあり。
読了日:12月18日 著者:ジョナサン・スウィフト
絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)絶対貧困―世界リアル貧困学講義 (新潮文庫)感想
世界リアル貧困学講義、と銘打っただけあって、内容はまさしく世界の貧困。スラム編、路上生活編、売春編、と筆者の取材した世界の貧困の有様を書き綴ったもの。けっして悲惨さを強調しないところがよい。スラムだって路上生活者だって、売春宿だって、日本も対岸の火事ではない。すべてがつながってグローバルになっている。東京オリンピックまでには大量の外国人が入国し、様々な問題も起こるだろう。しかし、それは外国人=悪などという単純な図式ではなく、では読んだ自分には何ができるだろうか?という答えを自ら出すことなのだ。
読了日:12月19日 著者:石井光太
「ちゃぶ台返し」のススメ   運命をかえるための5つのステップ「ちゃぶ台返し」のススメ 運命をかえるための5つのステップ感想
ジャック‣アタリが「ちゃぶ台返し」?派手なピンクの表紙に突飛な邦題。要は国家、他者などにせいにして頼る<甘受者=要求者>にはなるな。今日の世界は耐え難い。もはやだれかがどうにかしてくれるという段階ではない。今こそ私たち一人一人が自分で対処すべき時である。本の中盤は偉人伝的なものなので流して読み、第1部と第4部を熟読。疾患を持っている私でもこの社会でやれることをあきらめずに探してみよう。何度も挑戦してみよう。そんな気になった。
読了日:12月20日 著者:ジャック・アタリ
古書店のオヤジが教える 絶対面白い世界の名著70冊 (知的生きかた文庫)古書店のオヤジが教える 絶対面白い世界の名著70冊 (知的生きかた文庫)感想
確かに、この70冊はほとんどが誰もが知っているといるものばかりだが意外と読んでいるものが少ない。来年はこれをベースに古典を読みこなそうと思う。ヘロドトス 『歴史』 // トゥキュディデス 『戦史』 // プラトン 『響宴』 // アリストテレス 『形而上学』 // 聖書 // カエサル 『ガリア戦記』 // プルタルコス 『英雄伝』 // スエトニウス 『ローマ皇帝伝』 // トマス・アクィナス 『神学大全』 // ダンテ 『神曲』 // イブン=ハルドゥーン 『歴史序説』 //
読了日:12月21日 著者:日比野敦
魂の読書魂の読書感想
いかに人生において読書が重要か、「読書のすすめ」店主が語る熱い読書指南。あまりに著者の思いが強すぎるためか、話題があちこちに飛んで、散漫な印象をうける部分もあるが、”「答えを」探すためでなく、「問い」を見つけるために読書は必要なのです。”というくだりは世の中に流されて自分から考えなくなった日本人への厳しい批判になっている。ブックガイドが秀逸。みんな「読書のすすめ」で本を買いましょう。
読了日:12月23日 著者:清水克衛
愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる (光文社新書)愛着障害の克服 「愛着アプローチ」で、人は変われる (光文社新書)感想
克服しようと読んでみた。安全基地は家内が引き受けてくれることになる。両親はすでに変えようがないから、もう何も期待しない。そして、愛着障害の連鎖はしないように肝に銘じる。しかし、なかなか試練の道である。
読了日:12月24日 著者:岡田尊司
饗宴 (光文社古典新訳文庫)饗宴 (光文社古典新訳文庫)感想
前半のソフィストたちのエロス賛美は後半のソクラテスの話の前座として楽しんだ。エロスは何を求めているのか。美しいものの中で、生み、子を成すことだ。エロスはよいものを永遠に自分のものにすることを求めている。この理由によりエロスは不死を求めていると考えなけらばならぬ。作品の後の解説が秀逸で詳しい。解説を読んだら、また機会を見て再読したいくらいだ。
読了日:12月26日 著者:プラトン
ハツカネズミと人間 (新潮文庫)ハツカネズミと人間 (新潮文庫)感想
愚鈍だが怪力の大男レニーとレニーを温かく見守りながら寝食を共にするジョージ。二人は農場の期間労働者として各地を転々とするが、いつもレニーの起こすトラブルによって逃げ回る羽目になる。しかし、ジョージはレニーを見捨てず、いつ叶うかわからない楽園の話を語り続けるのである。結末はネタバレになるので書かない。結末は残酷でも、最後まで血の通った人間物語として感銘を受けた。救われない、それでも人間なのだ。
読了日:12月27日 著者:ジョンスタインベック
異邦人 (新潮文庫)異邦人 (新潮文庫)感想
むむむー。高校の時、理解不能で30年ぶりに再読。少しは理解が進むかと思われた。裁判の時、検察官が再三ママンの死の時に行ったムルソーの行為を非難し続けたが、現代に置き換えると、母の死の後、タバコを吸おうが、映画館へ行こうが恋人と会おうが、なんの問題があるのか?まったく不条理なことだと思えてしまう。もしかすると、その価値観の顛倒が今、この作品を積極的に読む必要があるのかもしれない。ムルソーはニヒリストかもしれないが、ただ当時の感覚からすると先を行きすぎていた、ということなのかもしれない。なんにしても問題作には
読了日:12月28日 著者:カミュ
戦略読書戦略読書感想
そもそもキャリアアップを狙うビジネスマン中心に書かれているが、そうでなくても十分刺激になった。本棚や自宅図書館の作り方などはワクワクするくらい。サイエンス、SF、漫画も紹介されており、ブックガイドとしても面白い。 できれば20代くらいのビジネスマンが読むと最も刺激になると思う。
読了日:12月29日 著者:三谷宏治
グレート・ギャツビー (新潮文庫)グレート・ギャツビー (新潮文庫)感想
バブリーな人生を絵にかいたような物語。底辺には恐慌や西部出身者の思いなどがある。毎晩繰り返される豪奢なパーティー。そしてあっけない結末。人によりけりだろうが、こういう人生もなかなか味わえないな。日本もバブルの時はこういう人は結構いた…。
読了日:12月30日 著者:フィツジェラルド

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