【音楽】ああ素晴らしき、純セレブスピーカーの世界!!
先々週1月10日思い立って東京大学東洋文化研究所に行ってきました。
ある展覧会があったのです。
これなんですか?
純セレブ文明ってなに?
東京大学でなんかごっつい怪しいことやっていないか?と思われること間違いない。
昨年5月くらいに音楽家片岡祐介さんと東京大学教授の安冨歩さんの発見した「純セレブスピーカー」というもの。
引用が長いですが。
純セレブ文明の夜明け
〜道(タオ)の思想に基づく非線形スピーカーのよろこび〜セレブとは、英語では「有名人」、日本語では「金持ち」というような意味だが、いわゆるセレブは、有名だとか、地位が高いとか、金があるといった根拠を必要とする。「純セレブ」とは、そのような根拠を必要としない、純粋のセレブのことである。純セレブは、自分がセレブだと悟ることによってのみ存立する、究極のセレブである。
今回、展示する「純セレブスピーカー」は、この純セレブ思想を表現する具体物である。スピーカーは、1876年に開発されたベルの電話機以来、140年以上の歴史があり、もは完全に成熟した産業だと考えられてきた。
しかし、2018年5月に、片岡祐介(音楽家)と安冨歩(東京大学東洋文化研究所教授)とが、スピーカーユニットをダンボール箱に詰めて、中に紙くずを入れる、という極めて簡単な手法で、驚くほど良い音のするスピーカーができることをを明らかにし、これを「純セレブスピーカー」と名付けた。このスピーカーは、スピーカーユニットが作動するときに、高い非線形性を帯びた運動をすると考え、それを固定して制御するのではなく、ゆるく支えて自由にのびのびと運動させる、という、独自の考え方に基づいている。この発想は、安冨の「老子」研究とつよく響き合っている。それゆえ、純セレブスピーカーは、道(タオ)の思想に基づく、非線形スピーカーだ、と捉えることができる。
純セレブスピーカーを聞き、あるいは自ら作る体験は、固定し抑制して制御する、という発想から離れ、ゆるくささえて共に運動する、という老子的な発想を、よろこびをもって体得する有効な手立てである。そればかりか、西欧に起源を持つ近代文明の桎梏を乗り越える、新たな「純セレブ文明」の夜明けを告げる産物だと我々は考えている。
東京大学 展覧会「純セレブ文明の夜明け 〜道(タオ)の思想に基づく非線形スピーカーのよろこび〜」 | 純セレブスピーカー 純セレブ堂 より
もうなんのことやら…かもしれない。
これだけ文章で能書きたれても「純セレブ」という思想はなんなのかわからないと思う。
だから、そこは音楽でわかるというのである。
【純セレブスピーカーとはなにか?】
片岡 祐介
「純セレブスピーカー」とは、大雑把に言えば、ダンボール箱にスピーカーユニットを差し込んだだけの簡素なスピーカーのことです。箱内にクシャクシャにした紙類を入れて、空洞の形を複雑化し、余分な箱鳴りを抑えているのも特徴です。
使用するスピーカーユニットや箱の種類よって、音にさまざまな個性が出ますが、けっこうテキトーに作っても、驚くほど音楽的な音が出るのが特徴です。運が良ければ(あるい製作者の感覚が良ければ)数百万もする高級スピーカーの音を軽く超えてしまったりします。なかなか信じてもらえないんですが、実際に作られたり、現物を聴いてみたことのある多くの方々に、驚きをもって納得していただいています。
わたし片岡祐介は、十歳頃から、既成の楽器だけではなく、日用品や手作り楽器を日常習慣として演奏してきました。また、子どもたちや障害児者と共演する即興音楽の活動を二十年以上続けています。音楽が「文化」として定着する前の根源的なものを探り続けてきたともいえます。「ロック系が好き」とか「この歌、知ってる歌だ」という記号化された音楽のありようではなく、乳児もおもわず踊り出すような音は、どんな「出方」をする音かを、僕自身(まだ途上ではありますが)かなり身体化していると思っています。
そんな片岡の経験と、安冨歩さんの膨大な研究(おもに複雑系科学や東洋思想)が出会った結実のひとつが「純セレブスピーカー」といえるかもしれません。「音波を発生する機器」ではなく、音楽そのもののような、生き物としてのスピーカーを実現させました。そしてまだまだ探求中です。
「重さ」よりも「軽さ」、「安定」よりも「不安定」、「固定」よりも「動き」…
最後の