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イトウの音と本の綴織

【読書】アゴタ・クリストフ「悪童日記」 鈴木大介「最貧困女子」

寒い寒い。寒い時はインドアに限る。読書読書。

 

アゴタ・クリストフ悪童日記

これはすごい小説だ。

舞台は第2次大戦のハンガリー。田舎のおばあちゃんに預けられた双子の男の子がつけた日記を読む、というかたち。

無論、戦時のこと故、不条理や悲惨、暴力、死、性体験などが語られるが、驚くほど明晰な双子は淡々と自分たちのことを考え行動し、決して他人の考えに惑わされない。

自分たちの考えに基づき盗みも殺しもやるが人助けもやる。

語調がこども的なので決して読みにくくない。むしろ読者層は広げてあるように書いてある。描写は非常にわかりやすく、ストーリーとしても滅法面白い。しかし、書かれていることはぶざまで、無慈悲で、しかし尊厳をもった人間のリアルな姿ではないだろうか。

早くも今年読んだ小説ベスト10入り確実である。

 

悪童日記 (ハヤカワepi文庫)

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鈴木大介「最貧困女子」

貧困についての本。石井光太さん湯浅誠さんや堤未果さんのものは読んでいたが、今回は鈴木大介さんのルポルタージュ

最貧困女子は性風俗産業に取り込まれていく。特に知的障害がある女性、それに類する障害を持つ女性が多くみられるという。この国も他の国同様、貧困の病巣は深い。もっとじっくりと考えねばならない。私自身の問題としても。

これも近いうちに再読したい。

 

最貧困女子 (幻冬舎新書)

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